2nd Full Album ぼくらはみんなエイリアン 谷澤智文

We Are All Alien Tomofumi Tanizawa

2017.11.11 on sale

取扱店舗はこちら

TNZWR-002 / 11 tracks / ¥3,000 (tax in)

未来のあの子 夢の中のあなた あの世のあいつ 君の中のぼく
みんな集まれ 聞こえるよ

アコースティック宇宙奏楽、長編3部作「"ぼくらはみんな"シリーズ」

第1部 "ぼくらはみんなスペーシー" に続き
第2部 "ぼくらはみんなエイリアン" 遂に完成!

アート・ワークは前回に引き続き漫画家panpanyaが担当。

よりメロディック且つサイケデリックに深化した「タニザワールド」を、ご体感あれ。

Liner Notes

Tanizaworldの深みにまんまとハメられた喜び

Texto por Kepel Kimura

いつの間にか僕は彼の音楽の虜になっていた

 そもそも谷澤くんと知り合ったのは2017年1月8日。大好きなエルメート・パスコアル来日公演の会場となった渋谷のWWWのロビーだった。共通の知り合いで、はるばる新潟からエルメートのライブを聴きに来ていたOさんから谷澤くんを紹介され、その谷澤くんから満員電車のような人混みの中で挨拶もそこそこにサンプル盤を手渡された。日本でも熱心な音楽ファンが大勢集まるエルメート・パスコアルはブラジルの天才とか奇才などと呼ばれている音楽家で、80歳を超えてなお創造力が枯渇しないどころか、来日後にも何と2枚組のアルバムをリリースするほどアイデアも豊富なアーチストであり、精力的な活動を続けている人だ。私事だが、そのエルメートのステージ2日目に自分がエルメートから呼ばれて共演する!という、とんでもない奇跡が起こった時だったので、谷澤くんには悪いが、そのサンプル盤のことをしばらく失念していたのだった…。

 自分にとってのそんな「エルメート騒動」がひと段落した頃、「そういえばエルメートの時に誰かからサンプル盤をいただいたような…?」と頭の片隅の微かな記憶を掘り起こして、カバンの一番奥底のほうを手で探ったら、CD-Rの真っ白な盤面に『ぼくらはみんなスペーシー/谷澤智文』と黒いサインペンでなぐり書きされたものが出てきた。「あ、これだったっけ?よっこらしょっ」と、自宅のCDプレイヤーのトレイにそのCDRを滑り込ませたところ、まるで宇宙船に引っ張り込まれて、ギュイ~~ンと異次元への果てしない旅に連れて行かれたような感覚に陥った…。

「ナンジャ、コリャ?!?!」という想定外の違和感を含んだ感覚が初めてこのアルバムを聴いた時の正直な印象だ。でも年の割に好奇心の強い自分にとって、この言葉が口から出るのは実はその対象となったモノや作品がそんなに悪くはない証拠でもある。いや、悪くないどころか、むしろ自分にとって「新しい世界からの贈り物」に出会えた時の感覚でもあり、その贈り物の包みを開けたくてウズウズ・ワクワクの期待に溢れる自分がいるのだ。さらに聴き進むうちにどんどん谷澤くんの世界=Tanizaworldに惹き込まれるではないか!「ナンジャ、コリャ?!?!」の連発!!! ところが何度も聴いているうちにこの音世界を自分の心や体が求めてたことに気が付いた!そしていつの間にか僕は彼の音楽の虜になっていた。

 そんな谷澤くんと再度会って一緒にセッションをしたのは、共通の知り合いである「響き床&狸サイクル(西武柳沢駅から徒歩7分程)」でのこと。8月初めの暑い日曜日にそこでフリーマーケットが行われ、僕は自分のユニットで参加してブラジルの田舎の音楽を演奏したり、中古盤のLPレコードを売ったりしていたのだが、谷澤くんは自分が栽培している、すごく美味しいトマトなどを売りに来ていた。昼間は戸外で演奏したり、柳沢産のとても美味しいクラフトビールや、谷澤くんを紹介してくれたOさんが新潟から持って来た素晴らしい味のワインを飲んだりしながら、真夏の日差しの下で大人たちが気持ちよくフラフラしながら遊んでいる、そんな感じだった。

 夜になって家の中に入り、いよいよ響き床での谷澤くんの「スペーシー・ライヴ」が始まった。アコースティック・ギターなのに物凄い数のエフェクター類が大きなボードの上に鎮座している!「ナンジャ、コリャ?」さらに彼がギターを弾きだすと1月に渋谷でいただいたあのCDとまさに同じ音がするじゃないか!しかも、こんなにエフェクター類(少なくとも10個以上)が連なっているのに全然ノイズが出てない!普通はエフェクターのひとつひとつがどうしてもノイズを出すから、総体量として物凄いノイズが出て当然なのに、「ブ~ン」とか「ジィ~~~」とかいう雑音が全く聞こえない。あり得ないことが目の前で展開している。一体どうなっているのだろう?と思う間も無く音楽が進んでいく。谷澤くんの音楽にはなくてはならないパンデイロの柳元くんも合流し、自分の楽器にピックアップを装着し沢山のエフェクターを繋いだエレクトリック・パンデイロを操り見事な演奏を披露している。

 そんな中で僕も谷澤くんから声を掛けられて、ブラジル北東部でポピュラーなザブンバという、アラブ起源の両面太鼓で途中からセッションに加わることになった。谷澤くんのギター、柳元くんのパンデイロが繰り出す心地よいグルーヴの中でしばし遊ばせてもらった。響き床は住宅街の中にある多目的スペースなので、そんなに遅い時間まで音は出せなかったが、充分に彼らの気持ち良い音楽を味わうことができた。セッション後には酒を酌み交わし、その日は夜遅くに別れたのだった。

 それから数週間後のこと、8月終わりの平日の午後に用事があって日本橋界隈を歩いていた時、突然谷澤くんから電話が掛かって来た。「ケペルさん、僕の新作のライナーノーツを書いてくれませんか?」というのが彼からの用件だった。僕は貧乏性なので基本的に依頼された仕事は余程のことがない限り断らないのだが、ブラジルのアーチストの作品について解説を書くことがほとんどなので、日本人の作品について解説を頼まれることはないし、ましてやアーチスト本人から頼まれたこともほとんどないのだ。「えっ、僕がですか?」「はい。是非ケペルさんにお願いしたいんです!」と持ち上げられて、心の中で「まっ、いっか~」と毎度の如く軽く考えて「書きましょう!」と答えたように記憶している。そして送られて来た音源が今皆さんが聴いているセカンド・アルバム『ぼくらはみんなエイリアン』のラフ・ミックスだった。

 と、ここまでがこのアルバムの解説へと続く長過ぎる序章である (苦笑)。

 何故かというと、解説を頼まれたはいいが聴いてみたら良い意味で途方も無い作品だったのだ!聴けば聴くほどTanizaworldの深みにハマり、そこから抜け出せないし、むしろそこから抜け出したくないという居心地の良さを彼の音楽は提供してくれるのである。でも繰り返し聴いても一体全体何がどうなってこういう音楽が生まれたのかが皆目分からない。色々な言葉は聴いているうちにこのポンコツなアタマから出てくるが、それらをまとめられるすべがなかなか見出せないまま時間だけが過ぎていく。

 今更のように自分の力不足を嘆いてはみたものの、兎にも角にも引き受けたからにはちゃんとやり遂げねば…と思った時、「自分は谷澤くんのことを何にも知らない…」ということにはたと気がついた(それ遅すぎやろ!と関西弁で突っ込み)。

 実際に彼に会ったのは、1月の渋谷でのファースト・コンタクト、そして8月のフリマの夜のセッション。その2回だけ?メッセンジャーでのやり取りは数回していたかもしれないが、経歴も人となりも何も知らない状態。「音楽が全てを語る」なんていうカッコいいセリフもあるが、実際なかなかそうはいかないものだ。「これはいかんぞ」と思うと同時に、彼のことをもっとよく知りたいという好奇心が涌いてきた。当初の原稿締切日からかなり時間が過ぎていたが、電話で谷澤くんへのインタビューをさせてもらった。約1時間ほど根掘り葉掘り不躾なことまで質問を投げかけるが、双子の娘さんが生まれたばかりで目が回るような忙しさの中、彼は懇切丁寧に応えてくれた。


 そんなインタビューも踏まえつつ、いよいよこの最新作『ぼくらはみんなエイリアン』について書いてみたい。

サウンドと曲の生命のエネルギーがリンクしている

 『ぼくらはみんなエイリアン』は谷澤くんのアコースティック宇宙奏楽3部作の2作目という位置付けになるそうだ。彼は以前メジャーレーベルから「タニザワトモフミ」という名前でアニメの主題歌などの作品を発表していたということだが、前作『ぼくらはみんなスペーシー』からは自主制作の形で作品を出し始めた。そこには様々な理由があるだろうが、自分の表現をとことん突き詰めるには今の時代はそれが一つの確かな道だろう。前作をお聴きになった方はこの新作を聴いても多分大きな違和感は感じないと思う。前作で確立した世界を踏襲しつつ、それに連なる世界を徹底的に追求している。そのために本人曰く「谷澤史上最長の制作期間に1年半」を費やしたという。

 自分は今まで40年以上音楽の仕事に従事して世界中のあらゆる音楽を聴いてきたが、ここまで精緻に作り上げられた作品にはなかなか出会えない。しかもとても自然なのである。そこがTanizaworldの一番不思議な部分であり、且つ最大の特徴ではないだろうか。

 とても多くのエフェクター類を使い、オーバー・ダビングを繰り返し、電気的にサウンドを弄くり倒しているのに、それに伴う「手垢」や「汚れ」が感じられない。前作からの音楽的なブレがなく、しっかりした思想が通底しており、曲つくりの最初に生まれた感情を時間の経過による変化を避けて純粋な状態で維持している。そこに谷澤くんの執着と精神力の強さを感じる。

 それは、とてつもなく大きな枠組みを持つ自然という環境を相手にして、彼が日常的に無農薬でお米や野菜を作る農作業に従事していることと決して無縁ではないだろう。常に生命あるものに触れている人だけが持ち得る何かが音楽に反映されているのだと思うし、そのサウンドと曲の生命のエネルギーがしっかりリンクしていることを強く感じる。通常は何度も重複する録音作業の過程で、次第にその有機的なリンクや最初の感情から離れてしまい、出来上がった音楽が結果的に手垢にまみれていることも多い。でもここにはそういうものは微塵も感じられないのが凄いことだ。

 どの楽器もそこになくてはならないサウンドを選び、適切な位置に収めていることが分かる。特にリズム楽器の扱いが巧みで、5拍子や7拍子などの変拍子を多用しているにもかかわらず、とても自然に身体が動き出す。このあたりは世界一周旅行(2012~2013)の間に各地の音楽を体験してインプットしたことが大きいのだろう。変拍子も元来その土地の大衆的な踊りから生まれたものなのだ。

 肉体の動きを反映した結果の変拍子、それが世界中にたくさん存在しているのだが、彼はそれらを現地で学び取ったのだろう。もちろんその土地には特有の伝統的な打楽器があり固有のリズムがある。特にアフリカ~アラブ~アジア~南米というリズムの宝庫を巡って来たら、それはもう大きなインプットがあったと思う。

 自分もしばしば体験するのだが、例えば1メートルの至近距離でその音楽に接している状態と、その人たちの輪の中に入って自分も演奏している状態では全く異なる様相を体験するのだ。輪の中に入るとロックされロールされるのだ。つまりそれがRock & Rollという揉みくちゃ状態。さらに継続的なリズム・パターンによって恍惚状態に導かれ、トリップしてトランス状態になる。

 それが正しい民族音楽、大衆音楽の在り方だと自分は思っているのだが、世界旅行の間に各地でそんな稀有な体験を数多く重ねて来たのではないだろうか。

 西アフリカに生まれ、その勇猛果敢なサウンドが世界中で人気の太鼓ジェンベ。元々は第二次大戦後に米軍が海岸に置き去りにした空っぽのドラム缶で作られたトリニダード・トバゴのスティール・パン。本来は農作業で使う篩(ふるい)だったらしいが、丸い木枠に獣の皮を張った形で北アフリカに起源を発し、それが北上して中央ヨーロッパからさらに西へと進み、最西端のポルトガルから大航海時代に南米大陸へ渡り、ブラジルでサンバのリズムを刻むパンデイロとなる。それらがこの作品にはフィーチャーされており、それぞれが特有の音色とリズムを奏でているが、打楽器がヴォーカルとアコースティックギターと同等のレベルで雄弁に表現している。そしてそこが僕がこのアルバムを気に入っている大きな理由の一つだ。

 全11曲の中で谷澤くんが今までに聴いて来た、あるいは体験して来た、ありとあらゆる音楽が様々な形になって姿を見せている。1曲めは混沌とした音の中から涼しげなスチール・パンが7拍子で聴こえてきて歌が始まるが、後半になると奇数拍子と偶数拍子が交互に出てくるパターンの心地よさを味わう。2曲めはサンバっぽいビートでスタートするが、途中から7拍子と9拍子が交互に出てくるような仕掛けがあったり、3曲めはアコースティックギターの後にスネア・ドラムのようなサウンドのトラベル・カホンとカリンバ(親指ピアノ)が7拍子と4拍子を奏でるが、途中からコルネットによる金管楽器の輝かしいファンファーレと重たいジェンベのリズムが重なるという普通ではあり得ない楽器の重なり合いがユニークだ。

 3曲めの終わりからのジェンベの音を合図に4曲めは5拍子で始まるが、まるでバリ島のガムラン音楽に聴こえるスティール・パンが面白い。エンディングから3拍子に変わり5曲めへつながる。「オー・ダーリン!」という決めのフレーズはもちろんビートルズ!

 6曲めに入るとギターがその曲名通りに堂々巡りを始め読経が聴こえてくる。スピード感溢れるギター・カッティングとジェンベの7拍子、そしてホーミーが重なるイントロから7曲めに移り「137億光年!」。

 8曲めは「どこかの海に到着した」ような感じをノイズなどで演出しているが、途中からドラムンベースのようなアップテンポのリズムが始まり、畳み掛けるようにヴォーカルが加わる。その後、静かに始まった9曲めも後半にはギター、ピアノやチェロ、ドラムセットが鳴り響くが、その重層的なサウンドを下敷きにして「痛いの痛いの飛んでけ」という素朴で聞き慣れたフレーズが繰り返される。10曲めはコーラスが永遠に続くかと思わせられるが、後半はギターが色々なバリエーションを響かせて、ラストはゆったりとしたレゲエのリズムでホッとさせられる。

こんなに手間の掛かることを一体他の誰がやるだろうか

 これらの全11曲はメドレーというよりも組曲のように切れ目なく連続して再生されるのも実にユニークだ。もちろん始めから繋がるように(繋げるように)考えて、メロディーやリズムも組み立てられている。こんなに手間の掛かることを一体他の誰がやるだろうか。やったとしても2曲か3曲のことだろうが、谷澤くんは前作もこの新作もそのように作っている。ある意味でクラブDJのMIX感覚にも近いその感覚を自分のオリジナルのフル・アルバムで発揮するというのは、尋常ではないコダワリだ。でも、それがやりたいからこその自主制作をしたアルバムで、しかもこれが谷澤智文名義の第2作目にしてこの非常に高い完成度なのだ。


 もうこれ以上何も言うことも書くこともないだろう。皆さんにもこの作品を何度も何度も繰り返し聴いて、心ゆくまで味わって欲しい。

2017年10月 ケペル木村(MPB/中南米音楽)

CREDIT

All Songs, Lyrics, Arranged, Recorded & Mixed Directed by

谷澤智文


01 想像してごらん (Imagine)

Vocals, A.Guiter, Shaker, Ring:
谷澤智文
Steelpan:
トンチ
Surdo:
柳元武司

02 ループ、の先へ (Go Beyond The Loop)

Vocals, A.Guiters, Bolsa Bass, Noises, Tambourine, Surdo Solo:
谷澤智文
Steelpan:
トンチ
Surdo, Pandeiro:
柳元武司

03 原始人に学べ (Learn From Homo Erectus)

Vocals, A.Guiter, Kalimba, Travel Cajon, Tambourine, Noises, Bass:
谷澤智文
Dejembe:
坂東火星
Cornets:
岡田俊哉 (道東管隊)

04 不純異星交遊 (Impure Alien Relationship)

Vocals, A.Guiter, Bolsa Bass, Electronics, Noises, Ring:
谷澤智文
Chorus:
Sara Saturn
Steelpan:
トンチ
Dejembe:
坂東火星

05 亡霊ダーリン (Ghost Darling)

Vocals, A.Guiter, Ukulele, Ubu Drum, Synthesizer, Shaker:
谷澤智文
Flute:
Florent Sfarman

06 伽藍堂々巡り (Going Around In Nothing)

Vocals, A.Guiters, 鼓, 木魚, 鈸, 鏧, 手鏧:
谷澤智文
Khoomi:
Florent Sfarman, Jonathan Sauvé
Mantra:
大西道隆和尚(圓城寺)

07 137億光年狂想曲 (13,700,000,000 Lightyear Rhapsody)

Vocals, A.Guiters, Surdo, Tambournine, Bolsa Bass, Rings:
谷澤智文
Chorus:
Sara Saturn
Violins:
武藤祐生
Dejembe:
坂東火星

08 CQ × CQ =

Vocals, Voices, A.Guiters, Synthesizers, Oscillators, Bolsa Bass, Rings:
谷澤智文
Vocals, Voices:
Sara Saturn
Steelpan:
トンチ
Pandeiro:
柳元武司
Rings:
坂東火星

09 きみの世界はきみのもの (Your World Is Yours)

Vocals, A.Guiters, Rings:
谷澤智文
Piano:
横山裕章
Cellos:
三木黄太(PASCALS)
Drums:
岡田梨沙

10 銀河系復活祭 (The Easter Of The Galactic System)

Vocals, A.Guiters, Shaker, Rings:
谷澤智文
Piano:
横山裕章
Cellos:
三木黄太(PASCALS)

11 あそびましょ (Let's Hang Out)

Vocals, A.Guiter, Bass, Ukulele, Accordion:
谷澤智文
Chorus:
Sara Saturn
Steelpan:
トンチ
Pandeiro:
柳元武司
Dejembe:
坂東火星
Voices:
The Aliens

Mixed by

永田健太郎

Mastered by

山崎翼 (Bernie Grundman MASTERING Tokyo)

Art Directed & Designed by

panpanya

Co Art Directed by

多治見武昭 (1月と7月)

Drums Recorded by

木内智貴, イトウミツヒロ

Recorded at

Tanizaworld Studio, 八ヶ岳 星と虹スタジオ, 圓城寺(M06), Shimokitazawa GARAGE (Drums)

取扱店舗

Tanizaworld Shop (直営サイト)
panpanya直売所
OTOTOY (ハイレゾ音源配信)
狸サイクル (東京都西東京市)
やわい屋 (岐阜県高山市)
co-ba HIDA TAKAYAMA (岐阜県高山市)
kongcong (岐阜県飛騨市)
Nishio Chiropractic (岐阜県中津川市中津川1129-9)
Annie Hall (岐阜県中津川市)
たつまき堂 (新潟県長岡市)
キャラメルママ (新潟県長岡市)
ゲストハウス山楽 (新潟県糸魚川市)
HEPOPEACE (ex.BB-STONES) (新潟県内外各音楽イベントなど)
家族整体院 (神奈川県横浜市金沢区)
もしも屋 (京都府京都市下京区)
昇陽窯 (兵庫県篠山市)
ARSHA (沖縄県南城市)

ぼくらはみんなエイリアン よもやま話

by 谷澤智文

☆製作期間、谷澤史上最長、1年半

全曲が密接に繋がるよう、曲順に曲をつくりました。

いい曲ができたからアルバムに入れようなんて不純?な動機は廃しました。

寄せ集めのアルバムではなく、クラシックで言うところの「組曲」を、歌ものでやりたかった。

トリッピーなポップ・ミュージック。

前作よりもメロディックかつ、サイケデリックな香りも感じるような。

この曲のこのフレーズが、次の曲のそんなところで出てくる、みたいなサプライズ感。

ある種、聞く側にも何かを強いるような。緊張と弛緩。

聴いてくれた人が心の旅に出て、無事帰ってきたと感じられるような聴後感。

「ぼくらはみんなエイリアン」というタイトルに込めた想いは、「そこに壁はない」です。

所詮我々はここに間借りしてるに過ぎないんだよ。

他人との違いばかり探して争わず、共通点を探そう。

そうか、俺たちみんな、あの星のあいつも、隣の部屋のあの人も、エイリアンだよね。

極論だけど、事実です。

☆録音は自分の部屋と、旅先

自分の部屋から、北タイの村から、地元のお寺まで。

他にも色んなところで録音しました。

録音機は常に持って歩いてました。

ギターはアコースティック・オンリー。

歌はマシンの力で直したりせず、ありのまま。

曲のために必然性の高い楽器、というのはもちろんのこと、

アルバムの流れと物語を最優先に考えての楽器の選別。

フレーズはなるべくループもので、飛べるように。

録音は去年の夏から始めて、今年の春までかかりました。

僕が住んでいる街は風が強くて、防音性のない家だから、音を重ねるとひどいことになっちゃって、録音できない日もたくさんあったのが、今は懐かしい。

たくさんの友達たちの演奏や、声や、魂を、吹き込むことができました。

参加してくれたたくさんの音楽仲間たち、ありがとう。

あなたたちがいるから僕は、音楽を大好きなままでいられます。

クレジットは特設サイトでも見られますので、是非チェックしてね。

☆長い時間を掛けた大海を彷徨うようなミックス作業

エンジニアは永田健太郎。

去年の秋に開催したプライベートフェスで出会いました。

完成打ち上げ会では、いつも小さな声で話す彼とは思えないくらいの大きな声で、「4分33秒」について力説してた。

あれは最高の時間だった。

ナギーはスーパーナイスガイです。

何度も埼玉の我が家に通ってもらって、ひたすら気持ちのいいバランスを探し続けました。

大変だったよなあ。

だって俺、毎回言うこと変わるんだもん。

ごめんね。でもきっと次回も同じかも…。

心の奥底の声が聞こえるまでに時間がかかるタイプなんです。精進します。

しかしながら、長い時間を掛けただけあって、「ここでしょ!」という場所に落とし込めた自信があります。

製作期間の大半はミックス作業でした。

大変だけど、本当に実りある時間だったです。

ナギーが最後までめげずに、嫌な顔ひとつせず楽しんで付き合ってくれたことは本当に救いでした。

心からありがとう!

☆マスタリングはなんと3回

前回に引き続き、Bernie Grundman MASTERING Tokyoの山崎翼。

前回よりさらに巨匠のにおいがしてました。

ついオビワンと呼んでしまう。

最終的には、立ち姿が田村正和に見え始める始末。

いや、美人さんなんだけどね!笑

3回もマスタリングをやったのは初めてだったけど、バッチリ最高の魔法をかけてくれました。

何故3回も必要だったかは、長くなるから割愛。

そうそう、初めてのハイレゾ音源も作ってもらって、これがまたいい出来です。

OTOTOYで「ぼくらはみんなエイリアン」はもちろん、

「ぼくらはみんなスペーシー」のハイレゾ音源の配信をやってもらいます!

皆さんの出来うる限りの最高の環境で、タニザワールドに浸ってくださいね。

とにかく次作では、マスタリングは2回まででどうにかできるように頑張るから!

☆アート・デザインは、前作に引き続き、大好きな漫画家panpanya

僕がマンガ大賞選考員だってことは、おそらく皆さんご存知だと思いますが、そんな僕が友達にいつも激推しする漫画家が、panpanyaです。

panpanyaの漫画を手に取ったことがある人は、まずパッケージが恐ろしいほどこだわり抜かれていることに気づくはずです。

そして漫画を読めば「よくもまあそんなこと思いつくな」と驚いてしまうような発想力の、カタマリだということもよくわかると思います。

そんな彼と、スーパー・スペシャルに拘ったジャケット、「モノ」としてのお宝感を目指しました。

音楽CDのジャケットが、漫画に比べて如何に惰性で作られているか。

予算削減を最も求められるのがジャケットです。

だから、世の中にはプラッチックのケースが溢れている。

それが当たり前だから、みんなそれに従ってる。

ものづくりって、そういうものなのかな〜と思ってしまうフシはやはりあります。

それに対するアンチテーゼのような、「本当のものづくり」への気概が、とことんやるってことへの気概が、これでもかと込められたジャケットが出来上がりました。

いやそんな堅苦しいこと言わなくても、ただそこに必然性があっただけなんだけどね。

原価がどうだとか言いながらものづくりはできない!(半泣)

いやほんとに娘2人同時に産まれて大変なのに、どうするんだ!(笑)

フォーマットにはまらないものづくりっていうのはつまり、そういうことなんです。

是非現物を手にとって触ってみてください。

きっと後悔させないから、買って!

そして、そのお金で3部作最後の作品、つくらせてください。

☆今回から、大手流通の力は借りないことに決めました

個人でビジネスミュージックの荒波に抗っても楽しくないことはよーくわかったので、大手流通会社さんには今後はお願いせず、これまでに出会った友達たちや、横のつながりの縁に頼って、生きて行こうと決めました。

ここ、とっても重要ポイントなんですが、「ぼくらはみんなエイリアンを売りたい!」と言ってくれる、お店、個人、法人問わず、大募集します!

メッセージいただけたら、すぐご返信します。

本気でこの作品を沢山の人に届けたいです。

是非、皆さまのお力をお貸しください!

☆尊敬する詩人・谷川俊太郎さんから、今回のアルバムにコメントをいただきました

なんという光栄なことか。

できる限り心を込めた手紙を、なんども書き直しては書き上げ、音源と資料をお送りしたところ、ある日突然、コメントが書かれたハガキが届いたんです。

叫んだっす。

谷川俊太郎さん、本当にありがとうございました!

☆愛すべき音楽おじさん、ケペル木村さんによるライナーノーツ

「ぼくらはみんなエイリアン」特設ページ上には、

これまた尊敬する音楽おじさん、ケペル木村さんによる、ライナーノーツも載っています。

ケペル木村さんは、かのフアナ・モリーナさんを最初に日本に呼んだ人でもあり、僕が尊敬してるサンティアゴ・バスケスさんともマブダチっていう、とんでもない人です。

最近来日したエルメート・パスコアールさんのステージにも上がってた。

音楽への愛を人にしたら、ケペルさんになるんじゃないかっていうくらいのステキなおじさんです。

狸サイクルでふるまってくれたブラジル料理、めちゃくちゃ美味しかったな〜。

また飲み語り演りましょうね。

皆さま、すんばらしいライナー・ノーツです。

是非ともご熟読くださいましね。

☆管理人ミズベくんの力作、特設ページ

漫画家panpanyaのアート・ワーク素材を散りばめた、

ぼくらはみんなエイリアンの特設ページが完成しました!

管理人のミズベくんとは、高校2年生からの付き合い。

下宿してた寮の、下の部屋が高校1年生のミズベくんだった。

でかい音で音楽鳴らしたりギター弾いたり歌ったりしてる僕に、一度も苦情を言わなかったイケメン。(内心は知らないが)

一緒に学校サボって寮のバスケットコートで汗だくでバスケしたり、テスト週間にゲームのレベル上げしてたり、ゼノギアスってRPGゲームを教えてくれたのも、神聖モテモテ王国って漫画を教えてくれたのも彼だった。

僕の実家がある岐阜県飛騨市神岡町に今でも住んでいて、たまに帰って飲みに誘うと、町内会の寄り合いで行けないという理由で断る彼が、僕は大好きです。

というわけで長々と書いてきましたが、ここまで読んでくれてありがとうございます。

妥協なく、とことんイマジネーションを溶かし込んだ新譜「ぼくらはみんなエイリアン」。

どれだけ聞いても、きっと新しい発見があるはずです。

かぶいてんじゃねえ、と思うかもしれないけど、聞けばきっとわかってくれると思います。

あるいは、「わからない」を楽しんでください(笑)

何度も何度でも、聞いてね。

タニザワールドへ、ようこそ!

P.S.

「ぼくらはみんな」シリーズ、完結となる3作目のタイトルは、「ぼくらはみんなトラベラー」。

現在録音はまだだけど、曲は9曲めまで完成してます。

乞うご期待!

谷澤智文