世界放浪の果てに垣間見た、
流転する懐かしき未来の香りと、
たおやかな粒子に満ちた波間の、
宇宙的奏楽。
フキダシを クリック 、または タップ してネ!
この時代、「シャッフル」という機能を使って音楽を聞く人は多い。
次にどんな曲が来るかわからない楽しさがあり、便利。
BGMとして音楽を聞く時なんかには、僕も重宝している。
でも、恐縮ながら、是非このアルバムは、まず「通して」聴いてみていただきたいのです。
37分30秒、あなたの時間を分けてください。
アルバムの曲が出来上がり、曲順もアルバム・タイトルも決まり、録音はどうしたものかと考えていた。
予算的にも居心地的にも、いわゆる音楽スタジオで録音するのは嫌だった。
①響きがいいのはどこだろう。
う〜ん、わからない。気持ちいい響きの場所はたくさんある。
②居心地がいいのはどこだろう。
…そりゃあ、大好きなものに囲まれた自分の部屋だなあ。
③安いのはどこだろう。
自分の部屋!
という流れで、自分の部屋で録音することを決めた。
それに、この部屋の響きのことなら、誰より僕が1番知っている。
そうして、レコーディングは始まった。
マイク位置や角度を決めるのにも、アレンジを見定めるのにも、試行錯誤、右往左往を繰り返した。
僕は残念ながらいわゆる宅録系ミュージシャンではないし、家ではデモ程度しかつくったことがなかったから、恥ずかしながらパソコンで録音する方法もイマイチしっかりわかってなくて、それはもう大変だった。
しかしひたすらに、発見と学びにあふれた刺激的な日々だった。
レコーディングは徐々に進み始める。スピードを上げていく。
たくさんの素晴らしいミュージシャンの皆さんをマイ・ルームにご招待させていただき、数々の「民族楽器・不思議な楽器・高貴な楽器・名もない楽器」たちの、マジカルな演奏と、音色と、響きたちを、吹き込んでいった。
頭の中で鳴っていた音が具現化されていくのは、本当に楽しく、幸せなことだった。
参加ミュージシャンの皆さん、本当にありがとう!
今思い返せば、皆さんには無茶なディレクションばかりした気がする。
でもきっと、CDを買ってくれたあなたが音を聴いたら、無茶ブリされた皆さんが、なんだか相当楽しんで演奏しちゃってるってこと、バッチリ伝わるはずだ。
そういう響きを、録音できたぞ!と思っているのです。
縁あって「マンガ大賞」の選考員をやらせていただいている。
そんな僕が、今最もオススメしたい漫画家が「panpanya」。
現在、「足摺水族館」「蟹に誘われて」「枕魚」の3冊が刊行されているが、どれもこれも本当に素晴らしい。
これまでに僕に熱っぽくオススメされたという友人も多数いるだろう。(身近な人には大抵薦めているから)
そんなpanpanyaにアート・ワークを担当していただけることになったのは、光栄の極み。
大興奮だった。完成したジャケットの絵を見た時は、涙腺が割と硬めの僕も涙が出た。
見ているだけで、別世界へ迷い込ませてくれるような、素晴らしい作品だった。
panpanyaの魅力は、その絵や、独特の「視点」だけではない。
彼の漫画のパッケージを手にとったことがある人なら、それが凄まじくこだわられていることがわかるだろう。(詳しく述べると長くなるし、ある意味ネタバレなので、自分の目で確かめてみてください。)
その凄まじきこだわりは、僕のCDにもじっくりと織り込まれた。
・デジパック
・穴開き加工
・ホログラム箔押し
・シースルー・ディスク
・トレーシングペーパー帯
・描き下ろし漫画2P(!)含む12ページブックレット
…文句なしの特殊仕様だ。
もちろん「ただ特殊にした」わけではない。
全てに意味がある。
その意味は、手にとっていただければお分かりいただけることと思う。
レコードを部屋に飾って宝物にするみたいに、CDだってそうできるんだってことを証明したかった。
「ぼくらはみんなスペーシー」が、あなたの部屋にいつまでも存在し続けたらいいなあ。
今回のミキシング・エンジニアは、SPACE LIKE CARNIVALに引き続き「木内智貴」。
彼はなんというか、一言で言うなら「耳のセンスがいい」。
変な日本語だなあ、とは思うが、そうとしか言いようがない。
そして、「的確かつ、速い」。
ミックス作業では、僕のヒジョーに面倒な注文に嫌な顔ひとつせず…というわけではなかったが(笑)、本当に素晴らしい仕事をしていただいた。
若手の腕利きエンジニアを探してる皆さん、今こそ木内くんにご注目あれ。
そして、マスタリング・エンジニアは、Bernie Grundman MASTERING Tokyoの「山崎翼」。
かつて、「日本に落ちてきた男」というアルバムをつくったとき、マスタリングをやってくれたのが、新人ながらセンスに溢れまくった翼ちゃんだった。
あれから5年。センスも技術も耳も、当時よりずっと研ぎ澄まされていて、作業している後ろ姿なんか、もう大御所の風格が出てた。
音をどうしたらどうなるか、すべて知っているかのような…。ほとんど魔法使い。
アルバム全体の質感はもちろん、アルバムを通して聞く上でのダイナミクスも、大切にマスタリングしていただいた。
木内くん、翼ちゃん、本当にありがとう!
「ぼくらはみんなスペーシー」には、昨今の日本のCDにありがちな音の痛さや耳疲れする飽和感は、ない。
繊細な音色も息遣いも、余すことなく味わっていただけるはずだ。
お気に入りのオーディオやヘッドホンで、是非大きな音で、スペース(空間)を感じながら聴いていただけたら…、幸いです。
「ぼくらはみんなスペーシー」は、「3部作『ぼくらはみんな』シリーズ」の第1作目。
現在、第2作目の「ぼくらはみんなエイリアン」を制作中です。
多分来年のどこかでリリースする気がします。
ご期待くださいませ!