World Trip

Oaxaca, Mexico

Oaxaca, Mexico
23.10.2012~10.11.2012

最も長く滞在した街。
大好きになってしまった街。
愛すべきたくさんの人たちと出会った街。
今のところ住みたい街、ナンバーワン。

街と人との別れが、こんなに苦しかったのもこの旅で初めて。
泣きたきゃ泣けばいいのに、つい涙を堪えたのは何故だろうか。
次の街行きのバスに乗ってまでも何故か涙を堪えてて、それに気づいて少し噴き出したりした。

出会いと別れと「またね」があって「いつか」がある。
その言葉の狂おしさよ。

慣れ親しんだ街を離れて、また知らない街へ向かうのは、とても心細い。
変化したくて刺激がほしくて仕方ないとか言っといて、だせえなあ、と思う。
正直オアハカにもっといたい。
楽しいし、ほっとするから。

ほっとするから。

なんだそりゃ。
変化はどうした?

「本能は生きたがる。理性は死にたがる。」
という言葉を聞いたことがある。
人はどんなことにでも慣れるもの。
現に僕は異国の地オアハカにほっとしてます。

もっと大きい話を例に挙げて話してみたくなった。

あんなに大きな震災があって、今も最悪に状態で継続中なのに、そこから目をそらす人は多い。
どんな大ごとだとしても、大したことないって思ってる方が楽だし、大丈夫だっていう情報の方が信じたいし、そうだったら楽だし。
それも「慣れる」ということだと思うわけで。
そして、その「慣れる」という感情は、「本能」だと思う。

なら、「慣れる」の逆は何か。
本能の反対とは、「変わる」を求める感情ってことだと思う。
変化を求める感情とは、「本能に抗う」エネルギー。
変化を求める感情。
上の言葉を借りるなら、「死にたがる」感情。
根こそぎどこかからなにかを奪ってくるような暴力的なエネルギー。
「自分のエネルギーを奪うためのエネルギー」。
僕に今必要なのは、そのエネルギー。
逆説的なんだけど、
「自分のエネルギーを奪うためのエネルギー」こそ、
「生きるためのエネルギー」なんじゃないか?
本能のままにただ慣れながら生きるってのは、実は逆に死んでるってことだったりして…。
本能を信じるな、ってことだったりして…。
「理性こそが進化への道」だったりして…。
なんてことを考えたりもする一人旅。

というわけで。
メキシコはオアハカ滞在中、
訪れた場所を時系列に書いてみます。

・ミトラ遺跡
マヤよりも古い、古代サポテコ人が
モンテ・アルバンを放棄した後宗教の中心地とした場所。
高僧が居住した遺跡。
かつての建築様式の芸術性に魅せられた。

・エル・トゥーレ
北米一大きい木。さすがの心地よい空気。
ここで日本人の旅人三人組に出会う。
うち二人は1年8カ月旅を続けていた。素敵な3人。

・サント・ドミンゴ教会
さすがの荘厳さ。
教会の中にたくさんの木の枝が
描かれているのが印象的だった。

・サンマルティン・ティルカヘッテ
アレブリヘスのアーティスト、
JACOBO Y MARIA ANGELESの工房がある村。
その作品に惚れ込んでしまい、
この旅で初めての高い買い物をした。
再度ギターを持って訪れた際、
JACOBOさんのリクエストで3曲歌う。
お礼にと、JACOBOさんが描いた絵
(版画100枚刷ったうちの1枚目)をいただいてしまう。
家宝にします。ありがとうJACOBOさん。
さらに作品の特別オーダーもしてきた。
1年後の完成が楽しみ。

・アバストス
オアハカ最大のメルカド(マーケット)。
治安が悪いという噂をたくさん聞いてから行った。
まんまとバックパックの小さいポケットを開けられる。
が、直後に気付いたおかげでなにも盗られなかった。
民芸品も日用品も動物も何もかもが取引される場所。
楽しかった。

・イエルベ・エル・アグア(Hierve el Agua)
「沸騰した水」という意味。
石灰質の湧水があふれ出ている場所。
鍾乳洞が外にある感じ。見た目はでかい石の滝。
屋久島の太鼓岩を思い出した。
天然のプールで泳ぐ欧米人のセクシーな
姉ちゃんの水着姿をジロジロ見たりした。

・トラコルーラ
メルカドを見て回る。
露店のローストチキンが激ウマだった。

・ウアウトラ
ビートルズやボブマーリーも訪れたという
伝説のシャーマン、マリア・サビーナ。
その弟子イネスの導きのもと、
あのキノコをいただき、心の旅。
詳細は割愛。是非一度。

・死者の日・お墓ツアー
死者の日は、日本でいうところのお盆。
でももっと陽気。
これなら死んでも帰って来たくなるよなあって思った。
遺族がお墓を綺麗に飾って、
音楽とお酒で昔を思い出しているようだった。
泣いている人もたくさんいたけど、
でも、それでもお墓はあたたかかった。

・モンテ・アルバン(Monte Alban)
古代サポテコ人の祭礼センター。
自転車で山を登って見てきた。
人によっては整ってて嫌だって人もいるらしい。
確かにきれいだったけど、俺は好きだったな。
不思議と元気になる場所だった。
ギターの持ち込みを断られたので、
アカペラで歌ったのをビデオに撮った。
近くアップします。

・スペイン語の勉強
これは訪れた場所じゃないけど、
5日間、1日4時間、みっちりスペイン語勉強しました。
家庭教師をしてくれたエンリケとアンドレス、
ありがとう。ちゃんと復習するからっ。

・サルサのダンス練習
クラスに二回行ってきたけど全然だめ。
むずかしかった。あと女の子のお尻ばかり見てしまう。

・NAGUMI CAFE
オアハカのカフェでライブをした。
Ustream中継で久しぶりに日本の皆さんにも発信。
会場はありがたいことに大盛り上がり。
オアハカで出会った皆さんのおかげです。
女の子にキスしてって言われるのが、
日本のライブとの大きな違い。にやけた。

・IMAGINA
オアハカ最大のアニメフェス。
でも思ったより小さかった。
さんざんスケジュールおした末にトリでライブ。
ぶちかましてやったぜ。

・OAXACA観光CM撮影
日本人男性が急遽2人必要とのことで役者として参加。
貸衣装のスーツまで着込んだのに、
求めていたのがサラリーマン風だったらしく、
長髪とヒゲの我々は、ただの後ろ姿要員に。
完成品がYOUTUBEにアップされたらシェアします。
最後に。
なぜ僕がオアハカに来たか、の話。

この旅への出発直前、実は友人との縁で、新潟の小さな祭りで歌を歌った。
で、MCで「今度世界一周してきます」みたいなことを言ったんだと思う。
その時たまたま日本に帰国していたメキシコ在住のYさんが僕のライブを見てくれていて、
「世界一周するならオアハカ来ませんか?めちゃくちゃ面白いですよ」と誘ってくれ。
この縁は面白そう!ってことでオアハカに行ったんだけど、本当に縁ってどこにあるかわからない。
新潟の祭り、参加するかどうかすらかなり迷ってた、本音は。
けど、もし新潟に行かなかったら…、 もし僕のライブがしょぼくてYさんが話しかける気にならなかったら…、 それ以前に新潟の祭りを紹介してくれた大切な友人と出会っていなかったら…。
なんて、逆のぼるとどこまでも行ってしまう。
人生って面白い!
色んな事に感謝の気持ちがあふれます。

Yさん、おかげで最高の日々でした。
オーダーしたJACOBOさんのアレブリヘスが完成するころ、またオアハカに現れます!
心から、ありがとう。